土産店
2
4
旅先の食堂に『土産物』の看板を見付け、名物料理を期待して立ち寄った。
「いらっしゃい、どちらからお越しで?」
カウンターで包丁を研いでいた、店主らしき親爺が開口一番に訊いた。
「表の看板を見たのだが、どんな土産があるんだね」
「各種ございますよ。お客様は何をお持ちで?」
何をお召し上がりで、なら分かるが、何をお持ちでとは不可解な。困っている私に親爺はにんまり笑い、
「おまかせでよろしければ。先ほど良い肴が入りましてね」
言うが早いか七輪に火を起こし始めた。じきに炭火のはぜる音と磯の匂いが漂い、カウンターに徳利酒とあぶった干物が並ぶ。
「山郷で干物とは珍しい。酒もここらの地酒なのかい?」
「北海の干物と東の米どころの酒です。なに、前のお客様の置き土産で」
なるほど、旅人がお代がわりに渡した各地の土産で回す店らしい。
生憎と手持ちがなく、そこそこの金額を搾られたが、酒も干物もすこぶる旨かった。
「いらっしゃい、どちらからお越しで?」
カウンターで包丁を研いでいた、店主らしき親爺が開口一番に訊いた。
「表の看板を見たのだが、どんな土産があるんだね」
「各種ございますよ。お客様は何をお持ちで?」
何をお召し上がりで、なら分かるが、何をお持ちでとは不可解な。困っている私に親爺はにんまり笑い、
「おまかせでよろしければ。先ほど良い肴が入りましてね」
言うが早いか七輪に火を起こし始めた。じきに炭火のはぜる音と磯の匂いが漂い、カウンターに徳利酒とあぶった干物が並ぶ。
「山郷で干物とは珍しい。酒もここらの地酒なのかい?」
「北海の干物と東の米どころの酒です。なに、前のお客様の置き土産で」
なるほど、旅人がお代がわりに渡した各地の土産で回す店らしい。
生憎と手持ちがなく、そこそこの金額を搾られたが、酒も干物もすこぶる旨かった。
ミステリー・推理
公開:23/03/23 20:48
プチコン
旅
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
ログインするとコメントを投稿できます