立ち上がる時

時代と共に旅の手段は格段に増えている。
かつては足だけが頼りだった。移動できる距離は限られたし、旅行できる人数も限られていた。若くて健康でなければ、旅行することすら思い浮かばなかった。
それが馬を飼い慣らすことで草原を越えられるようになり、馬車の発明で子供や老人も旅に出るようになった。
船の進化も著しい。
小さな丸木舟からスタートして、それが徐々に大型化して、いまや海も人間の好奇心を隔てることができない。
さらなる進歩は飛行機だ。何か月もかかった船旅が、いまや一晩で地球の反対側まで飛んでしまう。
たれもが地球上を駆け回る時代。なんと便利な世の中になったのか。
この時代こそ、われわれの出番なのだ。いままで待ち続けた甲斐があったものだ。
そるして、新種のウィルスたちが一斉に立ち上がった。