女の園

その島に女の園があるという噂を聞いた男は、ボートで島にたどり着いた。
雑木林を抜けると花畑が続く向こうに民家が並んでいた。花の蜜のような甘い香りが漂ってくる。ここだと確信した男は民家のドアを叩いた。顔を出したのは老婆だった。
「ここが女の園か、ばあさん」
「そりぁ若かった頃の話よ。どこ訪ねてもばあさんしかいねぇぞ」
「昔の話だったのか……」
「まあ、うめぇもん食わせてやっから」と老婆がもてなす料理の味わいに、男は故郷の母を想って泣いた。男は老婆に礼を言い、島をあとにした。

翌朝。一人の美しい青年がボートでこの島にやって来た。その青年を見た老婆たちが、小走りで迎えに来た。
「ここに女の園があると聞いたが」
「ようこそ、お待ちしておりました」と、老婆たちが指をパチンと鳴らすと、みな若い美女の姿に変わった。
「なんと！」
「私たち、客を選びますのよ。ささ、夜まで宴を楽しみましょう」