昔を振り返っていたの

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朝目が覚めて、何気なくスマホを手に取り心臓が跳ねた。10年会っていない、当時1番仲の良かった旧友から深夜にLINEが来ていた。見ると『会いに来て』の文字とリンクが。URLを押すと、「時空旅行 茅菜様専用ページ」「本当に押しますか?」と言う警告と『時空旅行する』というボタンがあった。咄嗟にページごと消したのは、乗っ取りだと思ったからだ。

他のSNSで「乗っ取りされてない?」と送ったが、次の日また同じ文字とリンクが来た。怪しみながらも押すと、瞬時に私の体は消えた。何かに飲み込まれた。

気付けば病棟に立っていた。寝ている老婆の周りにたくさん人がいる。見知った顔を見つけ「遙、」と声をかける。振り返った遙は最後に会った時と変わらぬ姿だった。

老婆は旧友だった。富豪になった彼女は頭の中で思い浮かべるだけで様々な処理をテクノロジーが行ってくれる未来から、死ぬ前に私たちにメッセージを送っていた。
SF
公開:23/03/25 10:42
更新:23/03/25 13:14
プチコン

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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