時の瞳

血塗られた戦士は何かに怯えるように尋ねた。
『過去は変えられるか』
かの博士は一切の迷いなく答える。
『あぁ、間違いなく』
戦士はその言葉を聞くと少し安心したように過去を語りはじめた。
悲しみの過去、消したい過去、後悔の過去。


全て聴き終えた博士は静かに口を開く。
『過去を変えるためには強い意志が必要だ』
戦士はその言葉にすがるようにうなずく。
博士は続けた。
『そして、君自身に変化が必要になる。過去を変えるために君自身は普段の数倍の努力を求められるだろう。だが、それでいいのだ。過去を変えることは容易なことではない。その覚悟があるのか』
博士は尋ねる。

戦士は覚悟を決めた。まっすぐな目に確かな闘志を秘めて。

戦士はついに博士にその方法を求めた。
博士は語る。
『今を生きよ。過去を見る目を、心を鍛えなさい。過去とは解釈なのだ』