桜旅

満開の桜の木から、ひらりと花びらが落ちる。その花びらは、ランドセルを背負った女の子の肩の上に乗った。

新しいランドセルと緊張した女の子の表情を見ると、1年生だろうか。
肩に乗ったまま小学校に着いた。

女の子は教室に入っても元気がない。
中々みんなの輪の中に入られないみたい。

「あ、あの…」

声をかけようとしているけど、話しかけられない。

何とか力になりたい。
花びらの私をここまで連れてきてくれた恩返しをしなくちゃ。
今まで溜めてきた自然のパワーを勇気が出る力に変えて分けてあげるね。

女の子はそっと背中を押された気がした。

「ねぇ、一緒に遊んでもいい…？」

女の子はついに話しかけることができた。

「うん！いいよー！」

パーっと満開の桜のように女の子は笑顔になった。

すると、風が吹き女の子の肩からひらりと花びらが落ちる。
また新たに別の人に乗って、次の桜旅が始まるのだ。