筆致ハイク

「今日も筆に乗ってるね」
「お互い良い旅字を」
僕達ハイカーの合言葉だ。なぜ筆『が』じゃなく筆『に』なのかは、見てもらえば分かるだろう。
愛筆に乗り込み、旅字を書きながら旅する筆致ハイク。燃料は墨やインク、動力は旅への憧れと文字への愛だ。
クラシックな毛筆から、万年筆、鉛筆に色鉛筆、筆ペンや絵筆など種類は様々。筆の特色やハイカーの筆致で方角や距離が決まる。
走り書きで書っ端から飛ばすハイカーもいれば、一画ずつ書く実に辿る楷書派もいる。下書きと清書がセットの二道流も、同じ道は二度と踏まない一筆書きもいる。見た目は乱暴な殴り書きも、いざ筆を留めて読んでみれば、大胆で味のある筆致に目をみはる。

旅字には千差万別の個性が宿る。巧拙や目的など気にせず、記楽に遊ぶ事から始めればいい。腕と筆と記持ちさえあれば、いつでもどこでも自遊字在に旅して行ける。
今日も筆にマルを書け、筆力とピッチを上げていこう。