認知旅行

「は～やっぱりいいねぇ」私が旅行にハマったのはいつからだっただろうか。見知らぬ土地。見知らぬ人々。そんな出会いがいつも私をワクワクさせてくれた。見知らぬといっても私が住んでいる場所と全く違うというわけではなさそうだ。この道は家から職場へ向かう道のりにとても似ている。まぁ、同じなわけがないが。こうやって比較するのも通で楽しかったりする。それにしてもここはとても良い。地元のような安心感がありなんだか不思議な気分だ。さぁもっと探検しよう。この旅行先を満喫して、夜には見知らぬ地元密着の居酒屋で一杯やるのだ。最高じゃないか。これこそ旅行の醍醐味だ。
「あ！見つけた！」振り返ると知らない女が息を切らせて走ってきた。「もう、勝手に外出ちゃだめっていったでしょ！」なんのことだ。意味がわからない。私は旅行に来ただけなのに。そして女は私の手を掴み言う。「さぁ帰るよ。おばあちゃん」