悪夢が見えるアイマスク

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悪夢が見えるアイマスクが開発され売りに出された。誰もそんな物を買おうとはしなかった。しかし物好きな人が試しに買って使ってみた。
彼はその夜、仕事でクビを切られて妻から別れを告げられ、子どもも連れて行かれる夢を見た。
ハッとなり目が覚めたが現実はクビを切られることもなく、上司や部下からもそれなりに信用されているのを確認できたし、妻や子どもたちからも割と愛されているようだった。
このアイマスクは現実には嫌なことも多いけど悪夢に比べればまだマシだと当人のやる気を促し、こういうことになってはいけないと自分を戒めるためにあえて悪夢を見せる物だったのだ。
そうと分かってからはアイマスクを使う人が増えてきた。現実社会の心の痛みや辛さを緩和できる人が多くなった。
だが現実社会で嫌なことがあると、これは夢なんだろう頼む早く覚めてくれと絶叫する人が増えた。別な意味での逃避意識を持つ人が多くなってしまった。
その他
公開:23/03/20 12:03

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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