神の旅

神が箱舟に乗り旅に出た。定員に決まりはある。基準はよく分からないが、頭の良さ性格の良さはあまり乗る資格には関係ないようだ。
箱舟は止まることはない。動かす動力もよく分からない。あらゆる人が終始困った様子で、神よお助けをと叫ぶ。しかし神は何もしない。事態が好転すれば神様のおかげ、私の願いが通じたんだと解釈してくれる。上手くいかなかった場合でも神が与えてくれた試練だと、いいように解釈してくれる。
信じる心が動力源なのかもしれなかった。誰しも夢見る心、神に縋りたい心はある。あるいは神はそういった心に生かされて旅をしているのかもしれなかった。
神は厚かましい人間の方が好きなようだった。そういう人を贔屓にする傾向があった。神が元々そういう性格だからなのかもしれなかった。
神は争い事が好きなようだった。宗教書というのは人と人は分かりあえなく、永久に平和もないという神の言葉を伝えている物かもしれない。