Rockの餞別

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煙突から空に投げ出された。
勢いでクルクルと身体が回転し、どちらを向いているのか分からない。
腕を伸ばしたりして何とか姿勢を整える。
先程は熱く無かったので幸いだったが、今度は高所の恐怖が襲い掛かる。
突然落ち始めるのではないかと不安だが、昇らなくてはならない。
赤子が自ら立ち上がる様に、本能でそう感じる。
あぁでも恐い。
やはり地上へ戻ってしまおうか。

ドンドンパッ!

地上から魂が焚き付けられる音がした。
最後の最後まで弱気になってどうするのだ。
空の上どころか、宇宙の果てまでも昇ってやろう。


ドンドンパッ!
「ちょっとお客様困ります」
「鼓舞してやんねぇと昇れなさそうでさ」
赤髪の喪主は係員の静止を振り切り、曲をかけ続ける。
三拍子のリズムが特徴的なクイーンの名曲が、火葬場に鳴り響く。
「じゃあな親父。旅立ちのBGMだぜ」
ドンドンパッ!
その他
公開:23/03/21 22:20
更新:23/03/21 22:31

春島 傑郎

趣味で創作をしています!
漫画、映画、小説などエンタメ全般が好きです。

Twitterでは140字小説などの創作活動を不定期に呟いたりしています。
TwitterID⇒@KeturoHarushima

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