おひとり様の部屋
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ようやく取れた休み。私は子供の頃に住んでいた土地に旅行に行くことを思い立った。宿はどこも一杯だったが、一件だけ空きがあった。予約時に「おひとり様の部屋ですが大丈夫ですか?」とわざわざ確認されたので「はい」と答えた。
部屋はよくある和室タイプだった。早めに着いたので食事の時間まで散歩することにした。町は様変わりしていたが、父とよく来た駄菓子屋はまだあった。水飴を買い、宿に戻って食べると子供の頃を思い出した。
「自分の部屋が欲しいって駄々をこねてパパの部屋を半分もらったんだっけ」
気づくと私は父の部屋にいた。机の上にあったノートを手に取ると、父の日記だった。最初の頁には私と部屋を共有することになった戸惑いと喜びが記されていた。悪いと思いつつ読み進め、最後の頁を開いて絶句した。今日の日付でこう書いてあった。
「香、綺麗になったね。パパは香を守れて嬉しかったんだよ」
私は和室でパパを連呼し続けた。
部屋はよくある和室タイプだった。早めに着いたので食事の時間まで散歩することにした。町は様変わりしていたが、父とよく来た駄菓子屋はまだあった。水飴を買い、宿に戻って食べると子供の頃を思い出した。
「自分の部屋が欲しいって駄々をこねてパパの部屋を半分もらったんだっけ」
気づくと私は父の部屋にいた。机の上にあったノートを手に取ると、父の日記だった。最初の頁には私と部屋を共有することになった戸惑いと喜びが記されていた。悪いと思いつつ読み進め、最後の頁を開いて絶句した。今日の日付でこう書いてあった。
「香、綺麗になったね。パパは香を守れて嬉しかったんだよ」
私は和室でパパを連呼し続けた。
ファンタジー
公開:23/03/21 21:58
二郎丸 大と申します。
noteで短編小説とショートショートを書いています。
https://note.com/hiroshi_jiromaru
読んでよかったと思っていただける作品を投稿していきたいです。
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