旅立ち
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「あぁ、綺麗だ」海に夕日が沈んでいく。水面に吸収されてそのまま溶けてしまいそうだった。「できれば婆さんとも見たかったな」隣で立っている孫は複雑そうな顔をして、一言「そうね」と呟いた。夕日はもう半分以上海に飲み込まれていた。タイムリミットが刻々と近づいていく。
「延命治療をしなければもってあと3ヶ月でしょう」主治医の言葉を聞いた時、俺はどう生きるかよりもどうやって死ぬかを考えた。結局延命治療は断った。体は次第に言うことを聞かなくなった。もうじきだな。そう思った私は死に場所を海に決めた。最後は自由でありたい。そんな理由だった。「人間は病室か家でしか死ねないらしい。猫は自由に死に場所を選べるのにな」馬鹿な老人な屁理屈かもしれない。ただ、これで私は死が少しマシなものに思えた。
「もう大丈夫だよ」優しく言うと孫は「バイバイ」と少し瞳を湿らせて車へ戻った。私は新しい旅立ちに備え、ゆっくりと瞳を閉じた。
「延命治療をしなければもってあと3ヶ月でしょう」主治医の言葉を聞いた時、俺はどう生きるかよりもどうやって死ぬかを考えた。結局延命治療は断った。体は次第に言うことを聞かなくなった。もうじきだな。そう思った私は死に場所を海に決めた。最後は自由でありたい。そんな理由だった。「人間は病室か家でしか死ねないらしい。猫は自由に死に場所を選べるのにな」馬鹿な老人な屁理屈かもしれない。ただ、これで私は死が少しマシなものに思えた。
「もう大丈夫だよ」優しく言うと孫は「バイバイ」と少し瞳を湿らせて車へ戻った。私は新しい旅立ちに備え、ゆっくりと瞳を閉じた。
その他
公開:23/03/17 20:24
更新:23/03/18 11:57
更新:23/03/18 11:57
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