恋

喫恋所に入り、恋心に火をつける。
一息に吸っては誰に聞かせるでもなく甘い言葉を吐く。
愛恋家の俺は恋心の値段が上がっても止められないでいるヘビーラバーだ。
恋心を吸うのは若者の特権と言われるも、最近はその若者達の恋愛離れが激しい。
俺の行為は恋心農家を助けている。むしろ感謝して欲しいくらいだ。
とはいえ、愛恋家の肩身は狭い…甘い言葉を吐く事で異性との繋がりが生まれる副流縁。それは浮気の原因になると、外では大っぴらに吸えなくなった。
喫恋所も男女別に分けられていた。最近ではコロナやセクシャルマイノリティの関係で喫恋所の使用は１人きりと決められている。これでは人と人との繋がりが出来ないのも当然だ。
昔は皆が恋心を銜え、街を歩いたものだ。ナンパなんてしなくてもそれだけで恋が生まれた。それが今ではラブハラスメントだ。
ため息と共に恋心をもみ消す。
昔は良かった…過去を恋しく思う気持ちが吐き出た。