食歴社会

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面接官は履歴書の食歴欄にフォーカスを当てると質問を向けた。
「随分と不規則な外食やジャンクフードが多いようですが。自炊はされますか」
「自炊は苦手で…。ですが持病も無く健康には自信があります」受験者は答えた。
「それと非常に好き嫌いが激しいですね。当社で働くにあたり野菜を多く食べる事は可能ですか」
「人参以外なら少しは…でも学歴欄をご覧ください。私はZ大学の経済学部を卒業しましたので御社では即戦力として…」
すみませんと面接官は受験者の言葉を制した。
「計画や判断といった重要な局面は全てAIが取り纏めます。今求められるのはAIの指示を長期に渡り忠実に実行できる人材なのです」
「それでは学歴の意味が…」
「そうです。学歴より長期間健康で従事できる事。そのバロメーターとして日頃の食歴の方が重要なのです」

肩を落とし退出する受験者の後ろ姿をAI面接官のモーションカメラが見送るように追尾した。
SF
公開:23/03/18 23:17

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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