飼う水筒

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世界的に人は、水筒を連れて歩くようになった。水筒は犬のように毛がふさふさで、自分で歩くことができるのだ。
撫でてあげると、喜んで水を増やして出してくれた。人が育てあげることができた。ペットの代わりに育てる人が増えた。慢性的な水不足問題もある程度解決した。
水筒が出す水は、人体に害は無かった。むしろ栄養になった。

しかし怒らせてはいけなかった。怒らせると吼えてくる。それどころか人体に害のある、成分の水をだすようになってくるのだ。
金のある人なら新しい水筒を、買うこともできた。しかしあまり金の無い人は、何とか古い水筒を宥めすかせて使って水を補給するしかなかった。

水筒の機嫌の取り方マニュアルのような本も、よく売れるようになった。水筒も気位が高くなり、少し撫でたくらいでは満足してくれなくなってきた。入念なマッサージが必要となってきた。
水筒の方が、人間を飼うような時代になった。
ファンタジー
公開:22/09/23 01:48

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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