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その昔、楚という国に武具の盾と矛とを売る商人がいました。商人は売り物の盾について、「この盾は、どんな刃物でも貫くことはできません」と自慢しました。同じように、売り物の矛について、「この矛は、どんな堅いものでも貫き通してしまいます」と自慢しました。それを聞いた人が、「では、その矛でその盾を突いたらどうなるのですか」と尋ねると、商人は何も答えることができませんでした。

「この一冊で志望校に絶対合格! パーフェクト参考書」と書かれた本を手に取り、僕はいつか本で読んだ中国の故事を思い出した。「これまで5年間、大学受験に連戦連敗。予備校の先生からも匙を投げられたけど、この本で勉強したらどうなるだろう……」

そして僕は本屋のレジに向かい、支払いを済ませて帰途に着いた。買ったばかりの、新刊の漫画本を手に持って。
その他
公開:22/09/18 00:31

和倉幸配

断続的にではありますが、趣味で細々とショートストーリーを書いています。

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