すってんてん

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何もかも失った。金も地位も家族も全てだ。事業で失敗し、自己破産した私に残ったものは何もないのだ。起業なんてしなければよかった。今は橋の下でホームレスをしている。

すってんてん。すってんてん。

何か奇妙な音が聞こえてきた。

すってんてん。すってんてん。

それは地面から聞こえてきた。地面に耳を当ててみると、やはり聞こえてくる。この奇妙な音の正体が知りたくて穴を掘った。すると出てきたのは、働きアリだった。どうやらアリの巣を掘り当てたらしい。

「大きな巣を作るのを手伝ってくれてありがとう。お礼に働きアリの極意をあげるよ」

そう言ってアリから渡されたのは、すってんてんの書と書かれた巻物だった。
すってんてんの書。すってんてんになりたくなければ、すってんてんと言いながら、惨めな自分の姿を想像して自分を奮い立たせて頑張りなさい。これは働きアリが全員読んだとされるビジネス書だった。
公開:22/09/17 09:47
更新:22/09/17 10:13

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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