美容について

同僚の高橋さんは会うたび美容について熱く語る。
「目の下の涙袋の除去がいいよ。ホント若返るから」
「顎のところをキュッと引き締めてもらうの」
「麻酔してくれるから全然痛くないって」
「整形じゃないんだし、気楽な気持ちで…」

親切で言ってくれているのだろう。私だってまったく美に興味がないわけでもないし、キレイになりたい気持ちはある。でもエステにお金をかけてまではどうかなと思うのだ。
でもそれを言えずにいる。いや、今日こそは言ってやる。
「ゴメン、そういうの興味ないから」
高橋さんは気の毒そうに私を見つめた。卵のようにツルツルした肌の顔で。
もう降参だ。私の完敗。

高橋さんは髭脱毛のためメンズエステへ通い始めたのがきっかけで、今では女の私より知識も見た目も上回っていた。
今は男性女性の区別がない時代だとはわかっているけど…男性に美容の面で負けるのはちょっと悔しい。