ペダルと車体
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自転車屋に入った友介に店員が声をかけてきた。
「こちらはペダルも車体も軽くできるんですよ」
自転車の両ハンドルにスイッチがあった。店員が手で示す。
「右はペダルを、左は車体の重さを変えます。両方軽くすると空中を走れますよ」
財布を出した友介の顔を店員がのぞき込む。
「空を走る前に、自転車を止めた状態で漕ぐ練習は必須です。下りるとき、ペダルを重くするんですけど、かなり脚力がいります。漕げないと急降下しますよ」
友介は頷いて、その自転車に乗って店を後にした。空中を走りたくなる。
「大丈夫だろ」
ペダルと車体を軽くする。少しずつ上り、二階建ての屋根の上を走ると、自宅が見える。
友介はペダルを重くした。途端に脚が動かなくなり、急降下を始める。慌ててペダルを軽くした。旋回しながら頭をひねる。
「そうだ」
ペダルは軽いまま車体を重くした。友介は自転車ごと道路にめり込んだ。
「こちらはペダルも車体も軽くできるんですよ」
自転車の両ハンドルにスイッチがあった。店員が手で示す。
「右はペダルを、左は車体の重さを変えます。両方軽くすると空中を走れますよ」
財布を出した友介の顔を店員がのぞき込む。
「空を走る前に、自転車を止めた状態で漕ぐ練習は必須です。下りるとき、ペダルを重くするんですけど、かなり脚力がいります。漕げないと急降下しますよ」
友介は頷いて、その自転車に乗って店を後にした。空中を走りたくなる。
「大丈夫だろ」
ペダルと車体を軽くする。少しずつ上り、二階建ての屋根の上を走ると、自宅が見える。
友介はペダルを重くした。途端に脚が動かなくなり、急降下を始める。慌ててペダルを軽くした。旋回しながら頭をひねる。
「そうだ」
ペダルは軽いまま車体を重くした。友介は自転車ごと道路にめり込んだ。
公開:22/09/18 21:00
2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
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