地獄の沙汰

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「閻魔さま、次の女は大罪人です!」
新入りの赤鬼が飛び込んできた。
閻魔大王の太い眉がピクリと動く。
「……罪状は?」
「妄言です。 罪数がこれまでの奴らとは桁違いです。大叫喚地獄、しかもおそらく刑期も何千年と……」
身震いをしてみせる赤鬼。
「……因果応報だ、仕方あるまい。
 その女、何者だ?」
慌てて資料を見返す赤鬼。
「えぇっと、『ハ、ハ、オ、ヤ』と書いてあります」
閻魔大王が資料を取り上げる。
「『寝ないとお化けに連れて行かれる』、『野菜を食べないと鬼が来る』…。
 ククッまさに嘘八百だな。寝たふりまで計上されてやがる。
……受付の奴らめ、『母親』は内容確認必須だとあれほど…」
閻魔大王がサッとペンを走らせる。
返された資料を見て赤鬼が尋ねる。
「……大罪人では?」
「大罪人さ! だがこいつらは一周まわって……、、これで良し!」
資料には大きなハナマル、そして『天国行き』の文字。
ファンタジー
公開:22/09/14 23:46
更新:22/09/17 15:58

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