写文を撮るカメラ

素晴らしい景色を前にシャッターを切る。
それを現像する際、私は原稿用紙を使う。今回も私が見た風景の感想が原稿用紙にしっかりと書き写し出された。それを私は写真の説明に使用する。
私には文才と言うものがなくてね…景色を見て、感じたものを考えて文字化させる事が苦手なんだ。
だがそれではカメラマンとしては失格だ。そこでこの『写文を撮るカメラ』の出番である。これは撮ったものを文字で現像してくれる。
このカメラ、普通のカメラと同じで撮り手の一人一人、文が変わるんだ。同じ景色を見ても感じるものは人それぞれだからね。
写文は正直だよ。興味がなければ一文字も出ないし、感情のブレが文字のブレに繋がる。だからこそ奥が深い。撮り手の癖や性格が文に現れる。
そうだね…私の場合だと、余白を埋めようと沢山の文字で飾ろうとしてしまう。
それで先日妻を撮ったところ、余計な一言が多いと怒られてしまった。私は沈黙が苦手なんだ。