ワード燃料

とある文学者がバイオ燃料より先にワード燃料の実用化を可能にした。
ワード燃料とは言葉の持つエネルギーを燃料化させたもの。これにより「愛してる」の一言で走る車が誕生した。
この技術躍進に世界が注目する。言葉が燃料に変わる時代がやって来た。
だがこの燃料、非常に癖が強い。好みにより生み出すエネルギーにバラつきがある。
愛ある言葉が好きな燃料もいれば、怒りの言葉が好きな燃料もいる。
スポーツカーなんて自己啓発の言葉が大好きすぎる。限界を越えようとスピードメーターを振り切ろうとする。ワード燃料は好みによる使い分けを必要とした。
さらに言葉は使い回しすると燃費が悪くなる事も分かった。同じ話ばかり聞かされるのはワード燃料も退屈と感じるようだ。
まるで人を相手にしているみたいだと技術者は頭を抱える。文学者は紙の束を抱える。
今日もワード燃料を燃え上がらせる面白い作品を書いてやる。と、やる気になっている。