アライグマの恩返し

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猟師はある日、猪用の仕掛けにアライグマがかかっているのを発見した。罠から放してやると、足から血を流したまま急いで逃げ去ったのだった。

次の日、料理補助のボランティアだと言ってとてもかわいい女のコが家に上がり込んできた。
そのコが昨日のアライグマだと気づくのに時間はかからなかった。なぜなら変身が中途半端でスカートからふさふさした尻尾が出ていたし、右足に包帯を巻いていたから。
昔話でよくある。助けたお礼にと来てくれたのだ。

つい嬉しくなって「君はあの時のアライグマ?」と軽く尋ねたところ、女のコはみるみる恐ろしい形相に変わった。
「よくわかったわね」

「ど、どうしたの?」
「あんたが仕掛けたんでしょ、あの罠。恨みを晴らしに来たわ。すごく痛いのよ、このケガ」
牙をむき出して威嚇したかと思うと、近くにあった猟銃を手に取った。

なるほど。アライグマって意外と凶暴だって聞いたことあったな。
その他
公開:22/09/12 23:39
更新:22/09/13 07:45

ナユセナユ

どんでん返しが好き。ちょっとずつ書いていきたいです。

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