夢の代償

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私は表彰状を買った。自分への励みとするためである。ただの表彰状ではなく、自分の讃えられるべき成果を賞状に書き込むと、賞状がそれに合わせて指示をしてくれるのである。
例えばダイエットに成功して、十キロ減量しましたと書くと具体的な減量方法を、文章として教えてくれた。私はほとんどその指示通りにやって、三か月で十キロの減量に成功した。

味を占めた私は、名門N大学に合格すると表彰状に書き込んだ。その日から猛勉強が始まった。
表彰状の指示通り睡眠時間は三時間くらいで、生活のほとんどを勉強に費やし塾にも通った。食生活も脳にいいものばかり摂るようになり、遊ぶことは一切止めた。
しかし合格レベルには達しなかった。それどころか体調を崩し入院する羽目になり、三流の大学にすら受からなかった。
夢や目標は、相応のものにすべきだと悟った。
その他
公開:22/09/11 23:50

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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