名前を忘れたカンガルー

0
2

カンガルーたちは自分の名前を忘れてしまった。
いわるゆパンチドランカーだ。カンガルーたちは日が昇ってから、日が落ちるまでボクシングを続けているので、脳細胞から様々なものが脱落してしまったのだ。
月と星が隠れ、日が昇り始めると、カンガルーたちは対戦相手を探し始める。血を分けた親子であろうと、永遠の契りを約束した義兄弟であろうと、ボクシングの呪いから逃れることはできない。
ジェームスクックがオーストラリア大陸に上陸し、二本足で飛び跳ねる謎の生物を発見した。この動物の名前を原住民に聞いたところ、「分からない」という意味の現地語である「カンガルー」と答えたという(※)。
カンガルーたちも自分の名前を忘れるぐらいだから、原住民が知らないのも当然だ。そして、カンガルーたちは、今日もこぶしをぶつけ合っている。

(※)クックの話は俗説で、現在は否定されています。
ファンタジー
公開:22/09/14 13:37

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容