田圃に落ちた！

運転免許が取れ嬉しくて、早速走ってみた。街中は車も多いので、空いてる方に走る。赤い車で緑一杯の野道を快走している時、突然大きな音と共に前が真っ暗になった。何が起きたのか、暫くして沢山の目玉が私を見ている。
でかい目玉の奴が、お前何処を見て走っているのだ、田植えを終えたばかりの田圃に突っ込んでいるんだぞと怒っている。泥をバサバサやるとそいつは、蛙の姿だ。いま人を呼んでやると、大小の蛙達が一斉に鳴くと、
人が集まって来て車を引っ張り上げてくれた。
大変ご迷惑を掛けた事を侘び、念のため住所と名前を知らせ家に戻った。
晩秋の或日、あの時の人達が訪ねてきた。

貴方の車が突っ込んで出来た穴の中から綺麗な湧水が出て、周辺の田圃の水は、全部見事に入れ替わり、そのお蔭で、美味しい新米が実り品評会では一等賞が取れました。
採れたお礼の新米を置きながら、来年は隣村へ来て是非車で突っ込んで欲しいと頼んで帰った。