シュークリームにお任せ
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6種類あるシュークリームが客を選ぶスタイルの店に、スーツを着た男性が入ってきた。
シュークリームと話した店主が差し出したのは唐辛子味で、男は頭をかきむしった。
「唐辛子かよ。苺で」
「でも立候補したんで……」
「これから商談なんだ。苺にしろ」
店主は渋々、苺を差し出す。
「どうなっても知りませんよ」
彼はその言葉を無視してシュークリームをひったくり、代金を投げてよこした。
その日の夕方、同じ男が店に来た。
「商談に失敗しました。さっき素直に唐辛子味にしていたら良かったのかな」
涙目の彼は肩を落としている。店主はため息をついた。
「お任せで良いですか」
力なくうなずいた彼に差し出したのは抹茶だ。男は代金を払い、店内でかぶりついた。強張っていた顔がほころんだように見える。
携帯電話が鳴り、彼は店主に背を向けて通話を始めた。
振り返った彼の表情は、驚きと歓喜が入り混じっていた。
シュークリームと話した店主が差し出したのは唐辛子味で、男は頭をかきむしった。
「唐辛子かよ。苺で」
「でも立候補したんで……」
「これから商談なんだ。苺にしろ」
店主は渋々、苺を差し出す。
「どうなっても知りませんよ」
彼はその言葉を無視してシュークリームをひったくり、代金を投げてよこした。
その日の夕方、同じ男が店に来た。
「商談に失敗しました。さっき素直に唐辛子味にしていたら良かったのかな」
涙目の彼は肩を落としている。店主はため息をついた。
「お任せで良いですか」
力なくうなずいた彼に差し出したのは抹茶だ。男は代金を払い、店内でかぶりついた。強張っていた顔がほころんだように見える。
携帯電話が鳴り、彼は店主に背を向けて通話を始めた。
振り返った彼の表情は、驚きと歓喜が入り混じっていた。
ファンタジー
公開:22/09/13 21:00
2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
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