発光マウス

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研究室に配属されると変わった人がたくさん。隣の席の先輩はマウスの世話をしている。五、六匹を机の上で走らせる。
「できた!」と先輩が言った。机に敷いたシートに置いたマウスがスイッチを入れると走る。走りながら背中が発光して点滅する。「シート電圧刺激と極小LEDを埋め込んだマウスの体内電流で点滅する。点滅間隔を学習するのに苦労した。あと五匹だ」
数週間後、先輩は僕についてこいと言う。ついてゆくと学生街の喫茶店。店の隅に清楚な女性が座っている。待ち合わせていたみたい。ついてきて欲しいなんて弱気な先輩だ。僕たちは席に着いた。
先輩がシートを広げて六匹のマウスを端に位置させる。女性は不思議そうに見る。六匹は同じ速度で走った。と、それぞれ点滅の光が文字を描く。I LOVE YOU!なるほど電光表示板の原理だ。マウスは端まで走ると向きを変えて走り、同じようにI LOVE YOUを繰り返す。先輩の告白か…。
その他
公開:22/09/09 16:30

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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