幻の男

彼は妻と不仲になりアイという女と不倫関係になったので、妻を殺しアイと結婚しようと考えた。

捕まるのは嫌だったので、アリバイ工作を考えた。知人のルイという女に妻を殺す時間に、一緒にいたことにしてくれと頼んだのである。保険金を山分けにすることで了承してもらった。
しかしもう一人嚙ませてくれと言った、リョウという男がいた。お前が妻を殺害する時間、おれがルイと一緒にいてお前の振りをする。そうすれば盤石だろうと口説いて来た。

仕方なしに肯いた。保険金の三等分は痛かったが、妻を殺しアイと結婚するためにはやむを得ないと思った。
家で妻を殺そうとした時、リョウが押し入れから飛び出してきた。呆気なく彼はリョウに殺されて、海に沈められた。

妻の方が一枚上手で、ルイやリョウを誑し込んで彼の言動を探らせた上でリョウたちを操ったのだ。
そんな事情を知らないアイは杳として消えた彼の行方を探し続けた。