マネキン

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秋服が欲しくて買いに行った時、不思議な出会いをした。
「……なにこれ」
店のショーウィンドウに飾ってあったマネキンは冬服を着ていたけど、なぜか夏用のワンピースも着せられていた。しかもそのワンピース、生地からして明らかに安物じゃない。きっとブランド品で、値段も高いはずだ。それをわざわざ季節外れのものを、なぜこんな目立つところに展示しているのか不思議だった。でも、わたしはその時、あることを思いついた。
――これを着ていったら、先輩とデートできるんじゃない? そう思った瞬間、いてもたってもいられなくなった。だから、つい買ってしまった。お店を出てから、やっちまった……と思ったけど、後悔はなかった。それからというもの、この夏用ワンピースを着る機会を探していたが、なかなか見つからない。恋は焦らず。一年じっくりと待って夏用ワンピースを着れる季節が来るのを待ってみるのもいいかもしれない。
公開:22/09/11 10:41

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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