絵になった息子

息子が中学一年生の時に、いじめを苦にして自殺した。失意の母は特例法案で、息子の絵を描いてもらった。
知識をつけていく絵らしい。勉強を教えると、それを吸収して絵が答えてくれるようになった。
息子は生前そんなに勉強ができる方ではなかったが、結構絵の方は勉強ができるようになった。勉強に専念し、遊ぶことはしなくなったお陰かもしれなかった。

しかし虚しくなってくるのである。いくら賢くても撫でてあげられる頭もなければ、抱きしめる肉体もない。他の子が元気にしている姿を見ると、一層寂しさが募るのであった。

それならばいっそ見返すための猛勉強をさせてやろうと思った。特例で一流大学を受験させ合格した。
卒業後、検察官として息子の絵は活躍した。息子は随分と貫録を帯びており、睨まれると大抵の人はビビって罪を認めてしまうのである。絵が喋るという独特の怖さもあるのかもしれなった。
母と息子はささやかな復讐をした。