説教するやさしい雨

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台風が近づいてきている。心配性の私は念入りに台風対策をした。そして台風当日、家の中でいると不安が襲ってきた。
「川……氾濫しないかな?」
私の家は、川の近くだ。川の様子を見て来て危なそうなら避難しよう。そう思ったのだ。そして外に出た。
「ダメだよ。外に出ちゃ」
「えっ!?だ、誰!?」
「僕は雨。大人しく家の中にいるんだ」
「でも氾濫しないか心配だよ」
「川に近づく方が危険なんだ。毎年、川の様子を見に行った人が亡くなっている。だから君にもそうなって欲しくないんだ」
「雨ちゃん……。でもそもそも君が雨を降らすのが問題なんでしょ!!騙されるところだった!!」
「ごめんね。僕も降らせたくて降らせてるわけじゃないんだ。体が勝手に降らせてるんだ」
「体って……」
「だからね。こうやって危ない事をしそうな人に声をかけて、説教するのが僕の役目なんだ」
そう言うと雨の声は消えた。あれは何だったんだろうか。
公開:22/09/05 08:48

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

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・作詞を担当
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