ふわり、恋物語　5

「図書館でも行こうかな。でもなあー、外出る気しないなあ。でも暇だしなあ」
散々迷った挙句、退屈には勝てなくて、図書館に行く事に決めた。
図書館に着いて面白そうな小説がないかを探していた。
<恋を始めませんか。暁美紀>
そんなタイトルの小説を見つけ、手に取ろうとしたら、同時に誰かの手が伸びてきた。
「あっ……す、すみません」
「あ、いえ……」
制服を着た男の子だ。高校生だ。
まさかこれが月の使者が言っていた素敵な出会いだろうか。
ここから私の恋が始まるのね。
「どうぞ」
「ああ、いえ。どうぞ」
「いえ、どうぞ。僕はもうこの本、二回読んだので」
「そうなんですか？」
「ええ。面白いですよ」
「じゃあ……借りてみます。ありがとうございます」
「あ、あの！！」
来た！！ここから恋が始まるんだ！！
「スマホ落としましたよ」
「えっ、ああ。ありがとうございます」
違うの……？この人じゃないっぽい？