謎の女

6
1

綺麗な女がいきなり家にやってきた。どうか泊めてほしいと言う。
若者は深く考えずに頷いた。聞けば機を織らせてほしいと言う。話の脈絡がよく分からなかったが、まあいいかと思った。

綺麗な反物をたくさん織ってくれた。それを町に売りに行った。大金を手にした。
しかし女は決して織っている姿を覗くなと言う。若者は素直で紳士的な性格だったので、覗かなかった。女が頭を下げて覗くなと言っているのに覗くのは、とんでもない非礼なことだと思ったのだ。

成り行き上、二人は結婚した。女の作る反物は高く売れたから、貯金はたくさんできた。
何故か女は瘦せてきて、そろそろ織るのを辞めたいと言う。若者はそれを了承した。
貯金と若者の稼ぎで、何とでもなったからだ。

しかし若者は女を抱く気はおきなかった。町へ出て時々女を買うことで済ませた。
結婚とは、互いの韜晦から入るものなのだろう。そして秘密と嘘によって守るものだ。
恋愛
公開:22/09/06 23:36

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容