痛む体

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自分の体は雨で痛む。
ザーザーと降る雨ではぎしぎしと痛む。
ポツポツと降る雨ではきしきしと痛む。

台風のときはもっと痛む。
強風のときは体が壊れてしまうような錯覚に陥る。

この前は本当に参った。雨風の影響で痛む体に追い打ちをかけるように、小学生たちがいたずらを仕掛けてきたのだ。
何処からか見つけてきた棒状の何かで体をつんつんしてきたり、小さな石を小さな手を使って放ってきたり。
散々な目に遭った。

でも自分は此処にいる。自分の居場所は此処に在る。

「そろそろ頃合いかしらねぇ」
隣の人を見てそう言った。毎日のように此処に訪れるおばあさんはそう言った。

次の日隣の人はいなかった。次の日新しい人が来た。
もうあの人の居場所はない。戻ってきたくても、まだ此処にいたくても、もう居場所はない。

いつ撤去されるかわからない。毎日毎日痛む体。でも自分たちは此処に立つ。
これが案山子の仕事なら。
公開:22/09/06 15:20

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