神からの皮肉

6
1

Aという男は行動を控えめにすることに、誇りを持っていた。と言って彼の考え方は極端で、自分がいい地位に行かなければ他の人が行くからそれが隠れた善行になるだろうというものだった。

例えば学校も自分が入らなければ他の人が入るからいいことをした、会社も自分が入らなければ他の人が入るからそれも善行になる。
賢明な考え方ではないが、Aはまるっきりのバカというわけでもない。本気を出せばそれなりにできるが、あえてやらない。その自意識過剰なところがAをより極端な行動に奔らせているのかもしれなかった。

Aは死んで天国に行った。Aはおれほど控え目で優しい人は居まい。神もそれを見ていて快適な暮らしができるだろうとタカを括っていた。
しかし天国でも冴えないあまり面白くない日々が彼を待っていた。そんなに控え目が好きだったら、ずっと控え目でいさせてやるという神からの皮肉かもしれなかった。
その他
公開:22/09/03 01:20

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容