Ⅲ.自由ヲ、モトメテ 1/6

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 収容所内の植物園。
 さんきゅうと弐っちゃんがいる。
「静かになったね。まだ出ちゃだめなのかな?」
「せんせいが戻って来るまではいた方がいいかな」
 二人の間にもしばし沈黙が続く。
 その様子を離れたところから、ソルトとジョナが見ていた。
「やっぱりあいつだったみたいね」
「察しは付いてたが、本当に必要なのか?」
「必要か大切かは、あの子自身も分かってないわ。でも、あいつの返答次第で、あの子の"せかい"は完成するわね」
「安全の屋根で覆われた"せかい"か」
「ええ。欠落による安心と幸福で満ち足りた"せかい"よ」
「俺たちにもそこに行く権利はあるのか?」
「ええ。あんたはどうする?」
「考え中だ。お前は?」
「同じくよ。意見が合ったら、またつるまない?」
「それもいいな」
 その場を離れる二人。
「…ねぇ、さんきゅうさん」
「うん?どうしたの?」
「わたしと、別の"せかい"に行かない?」
SF
公開:22/09/04 07:29
連載 SF 戦争 差別

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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