空飛ぶ自転車

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空飛ぶ自転車に乗った。気分は爽快だった。地上の混雑を相手にせず、自由を満喫した。
発売されて間もないが、親に無理を言って買ってもらった。
まだほとんど乗っている人はいない。自分で言うのも何だが、セレブの家に生まれた特権とも言えた。
みんながみんな乗るようになると、いろいろと規制も増えてややこしいことになってくるのだろう。

鳥が横から飛んできた。私は慌てずに避けた。私の巧みなハンドル捌きがあれば、鳥なんて敵ではなかった。

よしあの鳥が近づけない高さまで飛んでやると、私はハンドルを上に向けた。心地よかったが肺が苦しくなってきた。そして自転車も軌道から外れ、地面へと真っ逆さまに落ちていった。

しまった上空へ高く上がり過ぎないようにと警告ランプが付いていたのだが、私はそれを改造して外してしまっていたのだった。
最期の瞬間、人間はやはり土に還るのだなとバカなことを考えた。
ファンタジー
公開:22/09/04 00:56

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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