アップルパイ

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ポロポロと零れやすく食べにくいアップルパイを上品に食べられたら良かったのに。
「どうぞ、召し上がれ」
お腹が空いていたのだろう。みんなガツガツと食べている。
「美味しい!」
「このパイ生地サクサクだね!」
「リンゴも甘いよ」
子供たちの感想に、満足げな表情を浮かべたリリアーヌだが、すぐに顔を引き締めて真剣な眼差しを向けてきた。
「ねえ、どうしてあんなところにいたの?」
その質問には答えずに、わたしはずっと気になっていたことを訊いた。
「あの……ここはどこですか? なんでわたし、こんなところに……」
「ここはアルフォンス伯爵領よ。あなたの名前は?」
「えっと……ユカリです」
「そう。私はリリアーヌ・アルフォンスよ。よろしくね」
「あ、はい! こちらこそよろしくお願いします」

悪い人ではなさそうだ。どこの誰だか知らない私にこうやってアップルパイを振舞ってくれるのだから。
公開:22/08/30 08:47

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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