金魚飼い
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月も星も魚も人もいない世界で泳いでいるのは炎よりも赤く輝く金魚たち。
暗闇に包まれたような濃くて青い海と空の間で、灯りをともすようにその身を輝かせ、すいすいと気ままに泳いでいる。
人の世界で生を全うした金魚たちはこの『渡り』の世界へやってくる。
チリン。
羊飼いならぬ金魚飼いの私は、杖についている鈴を鳴らした。
気ままに泳いでいた金魚たちは鈴の音に反応して、一斉に地平線へ向かって泳ぎ始めた。
チリン。
『渡り』の世界には空間があるだけで目印なんてものはない。
だから金魚たちが方向を見失わないように鈴を鳴らして案内する。
それが私の役目。
何百匹もの金魚たちが、上下左右に散らばって泳ぐ光景は流星のようで綺麗の一言だ。
チリン。
地平線のある一点が白く輝いている。
その光の中へ入ると、また新たな命が宿って人の世界へいく。
チリン。
行っておいで。
私は応援するように杖を振って鈴を鳴らした。
暗闇に包まれたような濃くて青い海と空の間で、灯りをともすようにその身を輝かせ、すいすいと気ままに泳いでいる。
人の世界で生を全うした金魚たちはこの『渡り』の世界へやってくる。
チリン。
羊飼いならぬ金魚飼いの私は、杖についている鈴を鳴らした。
気ままに泳いでいた金魚たちは鈴の音に反応して、一斉に地平線へ向かって泳ぎ始めた。
チリン。
『渡り』の世界には空間があるだけで目印なんてものはない。
だから金魚たちが方向を見失わないように鈴を鳴らして案内する。
それが私の役目。
何百匹もの金魚たちが、上下左右に散らばって泳ぐ光景は流星のようで綺麗の一言だ。
チリン。
地平線のある一点が白く輝いている。
その光の中へ入ると、また新たな命が宿って人の世界へいく。
チリン。
行っておいで。
私は応援するように杖を振って鈴を鳴らした。
ファンタジー
公開:22/09/01 13:14
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