Ⅰ.068 ペルビエの攻防~証拠~

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「返り咲く気満々ですね。その子」
「さすがね」
 とお師匠。加えて-
「それに比べてうちの弟子ときたら…」
 と椅子を回し、視線を窓から我々に移す。三つの眼が意地悪く歪んでいる。
「何かあったんですか?」
「あなたも例の瞬間に居合わせてたんでしょ。今の話を聞いて何か気づかなかった?」
 例の瞬間とは、主人が痛み分けを示したあの時だろう。その時を思い返したトトはすぐにそれに気づいた。
「ああ、尻尾。あの時持ってませんでしたよね?」
 そう。蒼猫が窓に残していった尻尾だ。
「あれも見せてれば、粘着質な疑惑も少しは減ったのにね」
 確かに、盗縛劇の盛り上がりを気にするなら、そのアピールを行うのもひとつの手だったろうが、主人がそれをしないのは目に見えていた。
「なぜ、その尻尾を出さなかったんですか?」
「…つまらん意地」
「わん」
「ふふっ。正直でよろしい」
 またも意地悪く微笑むお師匠。
ファンタジー
公開:22/09/01 06:58
ファンタジー 連載 怪盗 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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