本命ムーン

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本命は満月だ。満月を見る事ができれば僕は満足なんだ。あの見事に丸い月を見るとなんだかパワーを貰える気がする。

「また満月かどうか見ているの?」
「そうだよ。満月は神秘的でいつ見てもいいものだ」

彼女に聞かれ、僕は答える。どういうわけか月を見ていると、彼女は一緒に見てくる。

「私が遠くへ行ってしまうって言ったらどうする?」
「会いにいくよ。どんなに遠くても」
「物凄く遠い所だよ。簡単には会えないよ」
「何だよ、それ。まるで本当に行くみたいじゃないか」
「うん……」

そうして彼女はいなくなった。満月の夜に。月に向かって伸びる階段を登っていったのだ。

「待って!!君はかぐや姫なの?」
「姫……。そんな良いものじゃないかな。でもかぐや姫と似たような感じだよ。私は月の生まれなの」
「そんなっ……」
「今までとても良くしてくれてありがとう。さようなら」

彼女の目には、涙が溢れていた。
公開:22/09/01 06:35

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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