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マウスピースを咥えてベットの上で横向きに寝ている。これから内視鏡検査が始まるのだ。胃カメラの飲むのは一生避けたかったが叶わぬ願いとなってしまった。
(ああいやだ 絶対いやだ 帰りたい)
しょうもない一句をひねり出して気分を紛らわそうとするが現実からは逃れられない。
「それじゃぁ、いきますよ」
チューブが口から入ってくる。異物の侵入を妨げるように体が防衛反応を起こしている。
「あぶないから力を抜いて。喉を越えれば楽になるから」
(そんな無茶なこと言うなよ。この状態でどうやったら力が抜けるんだ)と心の中で毒づいたとき、背中がじんわりと温かくなった。看護師さんが手のひらで背中を擦ってくれている。その温かみで体の力が抜け、チューブは胃の中まで到達した。そういえば看護の字には『手』が使われていたな。『手当て』ってこのことを言うんだな。
検査の結果ガンが見つかった。今度は妻が背中を擦ってくれた。
(ああいやだ 絶対いやだ 帰りたい)
しょうもない一句をひねり出して気分を紛らわそうとするが現実からは逃れられない。
「それじゃぁ、いきますよ」
チューブが口から入ってくる。異物の侵入を妨げるように体が防衛反応を起こしている。
「あぶないから力を抜いて。喉を越えれば楽になるから」
(そんな無茶なこと言うなよ。この状態でどうやったら力が抜けるんだ)と心の中で毒づいたとき、背中がじんわりと温かくなった。看護師さんが手のひらで背中を擦ってくれている。その温かみで体の力が抜け、チューブは胃の中まで到達した。そういえば看護の字には『手』が使われていたな。『手当て』ってこのことを言うんだな。
検査の結果ガンが見つかった。今度は妻が背中を擦ってくれた。
その他
公開:22/08/31 22:57
面白そうなので参加してみました。
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