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役者志望の昴という若者がいた。
実は昴の母親は名の知れた女優だが、親の七光りを使わずに実力で勝負したいので素性は明かさず活動している。

ある日、神の頂という映画の主演オーディションの話が舞い込んできた。原作の大ファンで、どうしてもこれは自分がやるべき役だと思った。
だが、挑んだものの最終選考であえなく落選。
助監督は落ち込む昴に声をかけた。

「俺は推してたんだけど、監督の決定だからゴメンね。端役なら考えてもいいけど」
「本当ですか? ぜひ…」
そこで昴はふと口にした。
「実は…俺、泉沢玲子の息子なんです」
「なんだって? あのベテラン俳優の?」
「監督にそれを伝えたら、いい役回してもらえたりとか…?」
「ダメダメ、この話はナシね。今回は高山の過酷なロケだよ。玲子さんのご子息をそんな場所に連れて行ったら、俺この業界にいられなくなるわ」

結局、昴はこの映画の撮影に加えてもらえなかった。
その他
公開:22/08/27 17:22
更新:22/08/27 17:30

ナユセナユ

どんでん返しが好き。ちょっとずつ書いていきたいです。

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