パンの実

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ニートなどの引きこもりの人を対象として、パンの実が支給されることになった。小型のマシンで、使う人がボタンを押して身近にあった出来事を話すとマシンが励ましてくれるのである。
「ゴミ出しができたなんてすごいぞ」
「バイトの面接を受けに行ったのは立派だ」
「もう少しで楽しみにしている漫画の最新刊が出るな。どんな展開になるのだろうな」

またもう一つのボタンを押すと、パンが出てくる。役人かボランティアの人が原材料をセットして、使う人はボタンを押せばいいという仕組みである。
声によって励まされた人も多かったが、このパンによって生き永らえることができ安心したという人はもっと多かった。
自信を喪失し生き甲斐を見出せない人にとっては、パンのみで生きると割り切った方が生きやすいのかもしれない。
その他
公開:22/08/29 09:35

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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