照れて逃げ出す

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「ほらほら、こっちこっち」
そう言って手招きする。
「なんだよ?」
俺が近付くと、彼女は耳元で囁いた。
「あのね……私、ずっと前から――」
俺は彼女の言葉を最後まで聞くことなく、その場から逃げ出した。
「はぁっ、はあっ……」
逃げ出してから数分後、俺はある場所を目指して走っていた。
(クソッ!どうしてこんなことに……)
心の中で悪態を吐く。
今さら後悔しても遅いのだが……。
『私、ずっと前から――』
彼女の言葉を思い出す。
思い出すだけで顔に熱が集まるのを感じた。
「着いちゃったよ……」
気付けば目的地である場所に辿り着いていた。
そこは、とある公園だった。
俺が初めて彼女と出会った場所である。
「……」
少し迷ったが、意を決して中へと入る。
そして、そのまま奥にある滑り台へと向かった。滑り台を滑りながら頭の中は、さっきの言葉でいっぱいだ。
「好き?好きって事か?」
顔が真っ赤になった。
公開:22/08/29 09:10

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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