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次郎君が日曜の午後に、暗闇坂を歩いていると、シルクハットに黒マントのおじさんに出会った。
「こんにちは、怪人です」とその人は言う。
ヤバい人かと思ったが、少し話を聞いてやる事にした。
「いま、世の中には、怪奇が減っていますね?」そいつは嘆くように語る。「何でも割り切れて、数字や言葉に置き替えられる。謎や恐怖がそのまま有る場所が、減ってます」
「それでコスプレをしてるんですね」次郎君は聞いた。
「ええ。形から入る、と言われそうですが」怪人は言った。「姿かたちや場所を限定した中で、怪人をすることにしたんです」
その男はそう言うと、ニヤッと笑った。
すると、彼の靴の足元、脚、腰、肩と、だんだんうっすらぼやけて消えていき、最後にシルクハットの帽子だけが残った。
そして帽子に、口の形が表れて、それがニヤリと笑うと、帽子ごと消えてしまった。
あとは、いつもの見なれた暗闇坂の道があるだけだった。
「こんにちは、怪人です」とその人は言う。
ヤバい人かと思ったが、少し話を聞いてやる事にした。
「いま、世の中には、怪奇が減っていますね?」そいつは嘆くように語る。「何でも割り切れて、数字や言葉に置き替えられる。謎や恐怖がそのまま有る場所が、減ってます」
「それでコスプレをしてるんですね」次郎君は聞いた。
「ええ。形から入る、と言われそうですが」怪人は言った。「姿かたちや場所を限定した中で、怪人をすることにしたんです」
その男はそう言うと、ニヤッと笑った。
すると、彼の靴の足元、脚、腰、肩と、だんだんうっすらぼやけて消えていき、最後にシルクハットの帽子だけが残った。
そして帽子に、口の形が表れて、それがニヤリと笑うと、帽子ごと消えてしまった。
あとは、いつもの見なれた暗闇坂の道があるだけだった。
ファンタジー
公開:22/08/28 16:35
雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。
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