桃色オルゴール

彼がくれたのは、桃色のオルゴールだった。良いメロディーが流れていて私を癒してくれる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「あの……お礼と言っては何ですが、その、頭を撫でてもいいですか？」
彼は一瞬驚いた顔をしたがすぐに優しい笑みを浮かべた。
「いいよ」
私は彼の頭に手を伸ばした。優しく触れるとサラサラとした髪の手触りを感じた。そのままゆっくり撫でる。とても綺麗な髪だと思った。
「ありがとうございました」
「うん。またね」
そう言って彼は帰って行った。
それからも彼と会って話す日々が続いた。学校のこと、友達のこと、家族のこと。いろんなことを話した。
そして気づけば彼に恋をしていた。
だけどそれは叶わない願いだとわかっていた。
だって彼は人間ではないのだから。
彼は獣人。犬のようなもふもふとした毛並みに特徴的な耳を持った変わった種族。彼とは住む世界があまりにも違いすぎるのだ。