しーっ、静かに

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棚に並ぶ酒を眺め、今日はどれを飲んでやろうかと考える。
「先輩。もういい加減仕事しなきゃマズいですって」
「しーっ、静かに。家人にバレるだろう!私たち天使は絶対に人に見られてはいけないんだぞ!」
「分かってますって…でも先輩が飲む量、”天使のわけまえ”の範疇越えていません?大丈夫ですか?もうバレますって」
「そう言うお前こそ、この前婆さんが漬け込んだ梅酒かなり飲んでいたじゃないか。…おい見ろ!こっちにすもも酒漬け込んでいるぞ!」
「先輩…今日だけですからね!」

祖父母はお酒を飲まないのに沢山のお酒をコレクションしている。何でだろう?
「これは天使様が来た時に飲んでもらう為のお酒よ」
天使が来た時?
「私も夫も歳でね…いつお迎えが来てもおかしくはないの…そんなお迎えを、もてなして帰ってもらっているの。この話、天使様に聞かれないよう秘密にしてね」
しーっ、静かにと祖母はいたずらっぽく笑った。
公開:22/08/24 20:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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